書誌事項
- タイトル別名
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- Rail Transportation Disruption due to Wildlife Collisions and Countermeasures: A Case Study of the JR Minobu Line
- ヤセイ ドウブツ ト ノ ショウトツ ニ ヨル テツドウ 「 ユソウ ショウガイ 」 ト ソノ タイサク : JR ミノブセン オ ジレイ ニ
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説明
本研究は,近年増加傾向にある野生動物との衝突による鉄道の「輸送障害」について,東日本における実態を把握すると同時に,特に発生件数の多いJR東海の身延線を事例に多発区間を特定し,その環境および対策と課題を考察したものである。「輸送障害」は,2020年12月から2021年11月の1年間に発生した障害の詳細を,JR東海の公式Twitter運行情報より集計し,分析した。その結果,以下のことが明らかになった。<br>1)JR北海道管内では,特に宗谷本線,花咲線などでエゾジカやヒグマとの衝突が,JR東日本管内の東北エリアでは山田線で,関東甲信越エリアでは中央本線で,JR東海管内では身延線で,シカとの衝突件数が突出して多い。2)身延線では,1年間に215件の衝突が発生しており,特に10~11月に集中している。区間別では,内船駅~甲斐大島駅間で最も発生件数が多いが,ここは山麓斜面と富士川に挟まれた険しい地形の森林に覆われた区間であった。シカとの衝突は,季節性と地域性が認められた。3)身延線の運行情報から運転見合わせ時間を推計した結果,1件平均約35分の遅延が発生しており,これは全線で年間約5日間列車が止まっている計算になる。4)野生動物との衝突回避対策として,シカの忌避音発生装置の設置,徐行区間の設置,侵入防止柵の設置,「鹿マット」の設置などが行われている。5)シカは,鉄分補給のためレールを舐めに線路内に侵入することがわかってきた。そのため,線路以外の場所に鉄分を含む固形の誘鹿剤を置き,シカを誘導する方策が,シカ侵入対策,「輸送障害」への新たな対策として期待されている。
収録刊行物
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- 地域学研究 = Regional views
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地域学研究 = Regional views 36 53-71, 2023-03
駒澤大学応用地理研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390303254960122368
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- NII書誌ID
- AN10157491
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- NDL書誌ID
- 032887729
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- ISSN
- 09154094
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可