振替株式の株主名簿について

書誌事項

タイトル別名
  • The Change from Shareholder Register to Book-entry Transfer Account Register
  • フリカエ カブシキ ノ カブヌシ メイボ ニ ツイテ

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説明

本稿は、振替株式における権利行使資格の確認、株主の把握に、振替口座簿を活用することを提案する。なぜなら、振替株式の株主名簿は、会社法に規定される株主名簿と同様に解することができないからである。というのも、振替株式の株主名簿には、株券発行会社のそれと同じ効力(確定的効力、資格授与的効力、免責的効力)が認められず、また、少数株主権等を行使する際になされる個別株主通知は、株主名簿の効力も含めたものとして代替するものではないからである。これらの原因は、振替株式発行会社が、権利推定されるものすなわち振替口座簿を直接確認できないことにある。  しかし、振替株式発行会社が振替口座簿を直接閲覧することができれば、振替口座簿の記録を当該会社に対する対抗要件と考えることができる。また、振替口座簿の記録に免責的効力を認めることも容易になる。そのために、振替制度を信託的に構成し、振替機関・口座管理機関を当事者として権利行使の場面に組み込むことを提案する。直接閲覧の技術的なところは、分散型台帳を用いることで可能であろう。こうして振替口座簿を活用すれば、権利行使者が真の権利者か否かの確認や株主の把握も、即座に可能となる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 127 (11), 333-361, 2021-03-30

    法学新報編集委員会

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