先天性横隔膜ヘルニア術後における漏斗胸発生因子の検討

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タイトル別名
  • Study on Factors Associated With Development of Pectus Excavatum in Patients With Congenital Diaphragmatic Hernia
  • センテンセイ オウカクマク ヘルニア ジュツゴ ニ オケル ジョウゴ キョウ ハッセイ インシ ノ ケントウ

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抄録

<p>【目的】先天性横隔膜ヘルニア(以下CDH)術後に発症する漏斗胸に関して,発症のリスク因子を検討した報告は少ない.我々はCDH術後に漏斗胸を発症するリスク因子を検討するために本研究を行った.</p><p>【方法】2001年1月から2018年12月までの18年間に,当施設で新生児期から治療を開始し,術後3年以上経過観察できたCDH症例を対象とし,漏斗胸の発症に関して症例背景やCDHの重症度指標を診療録から後方視的に解析した.</p><p>【結果】対象となったCDH症例は89例であり,うち23例が漏斗胸を発症し,発症率は25.8%であった.漏斗胸発症例と非発症例を比較すると,発症例は一酸化窒素(以下NO)投与例が23例(100%)であったが,非発症例では53例(80%)と,漏斗胸発症例で有意にNO投与例が多かった.人工呼吸管理期間は,漏斗胸発症例で中央値16日(5~44日)であったが,非発症群では10日(1~1,824日),酸素投与期間は,漏斗胸発症例で37日(6~817日)であったが,非発症例では20日(4~1,824日)と,漏斗胸発症例で人工呼吸管理期間および酸素投与期間が有意に長かった.術式は,漏斗胸発症例では16例(70%)でパッチ閉鎖術が施行され,非発症例30例(45%)に比べて多い傾向にあったが,統計学的有意差は認めなかった.その他CDHの重症度指標の各因子については,漏斗胸の発症率との関連性は認めなかった.</p><p>【結論】CDH術後の漏斗胸の発症は,CDHの重症度指標とは必ずしも関連しなかった.CDH術後における漏斗胸は,NO投与や人工呼吸管理,酸素投与といった呼吸管理への依存性との関連性が深いと考えられた.</p>

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