On the Actuality of Hypothetical Objects: The Scope of “the postulates of Empirical Thought in General” in Kant's “Critique of Pure Reason”

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Other Title
  • 仮説的対象の現実性について : カント『純粋理性批判』「経験的思考一般の要請」章の検討を通じて
  • カセツテキ タイショウ ノ ゲンジツセイ ニ ツイテ : カント 『 ジュンスイ リセイ ヒハン 』 「 ケイケンテキ シコウ イッパン ノ ヨウセイ 」 ショウ ノ ケントウ オ ツウジテ

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Abstract

本稿の目的は、カントの『純粋理性批判』において、様相概念が集中的に研究される「経験的思考一般の要請」章の解釈を通じて、科学における「仮説」の役割を明らかにすることである。カントは、経験的対象を狭義の知覚の対象より拡張して使用する。その際、そうした対象は現実的であるとされる。このような現実性は、感覚で捉えられない微小な物質のみならず、エーテルなどの科学的な根拠のある仮説にも当てはまるものである。そこで本稿では、こうしたカントの言う現実性の三つの点に注目したい。すなわち、経験における諸知覚の相互連関の問題、第二に、知覚が非感覚的な対象を仮説的に示すという知覚の志向性の問題、第三に、この表象関係においては、仮説の概念的理解が先行して必要になる、という問題である。本稿は、可能的なものと現実的なものに概念レベルで差異はない、というカントの洞察をもとに、仮説の対象の現実性が、単なる可能性と現実性との区別をもたらす哲学的類推によって見出されることを示す。

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