2000年代以降の離島での商業活動に関する一考察

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タイトル別名
  • A Study of Commercial Business in Japanese Remote Islands after 2000s
  • 2000ネンダイ イコウ ノ リトウ デ ノ ショウギョウ カツドウ ニ カンスル イチ コウサツ

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抄録

論文

本研究は、公的統計や既刊の資料などに基づいて、日本の離島の商業活動、特に小売業の特徴を明らかにすることを目指している。離島は環海性や遠隔性を特徴としており、地域外での購買行動への障壁が高い。人口規模が小さな離島では、市場規模が限られる影響もあり、生業的で小規模な商店が目立つ。一方で、人口規模が大きな離島では、チェーン店や大型店の立地展開もみられる。こうした商業環境の下、2000 年代の前後に、まちづくり政策の変化もあり、人口規模の大きな離島では大型店の立地展開が進んだ。その後、食料品スーパーやドラッグストアの立地展開が進み、チェーン店の構成は変化した。このような状況下、ローカルチェーンは、地域限定的に立地展開を進めて、離島への進出を果たしたと考えられる。他方、離島では、人口の減少や高齢化が進行し、小売市場は縮小している。さらに、近年のネット通販の浸透に伴い、離島の商業への参入障壁は低下し、本土の事業者との競合が強まった。このことにより、離島の小売業における寡占的な状況は変容している。小規模な商店では、店主の高齢化が進んでいることも予想され、市場環境の悪化をふまえて、休業や廃業をする店舗が出ることも予測できる。島民は、購買先の選択肢を増やしており、離島の商業環境は、近年、開放性が高まったといえよう。

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