監査概念の爆発的拡張から監査文化の組織的受容まで

書誌事項

タイトル別名
  • From the Audit Explosion to Organizational Acceptance of the Audit Culture
  • カンサ ガイネン ノ バクハツテキ カクチョウ カラ カンサ ブンカ ノ ソシキテキ ジュヨウ マデ

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説明

本稿では,1980年代以降,会計学における質的研究,とりわけ社会学的な会計研究を先導してきた著名な会計学者の一人であるマイケル・パワーの主著『監査社会』を契機として,2000年前後に主に人類学者たちの間で巻き起こった「監査文化」論について取り上げる。まず,パワーが提唱した「監査の爆発的拡張」,「監査社会」,「監査の失敗」など,当該論点を理解する際の基礎となる概念について整理する。続いて「監査文化」論の中心人物であるマリリン・ストラザーンが2000年に編著した『監査文化の人類学』を取り上げ,そこへ寄稿していた人類学者たちの声を,当時の「監査文化」を捉えた証言として例示する。そこで明らかになるのは,1980年代以降,各国の大学改革に浸透した「監査文化」の様子と,その中における「監査の失敗」の実態である。最後に,同書に収録されていた人類学者ペーテル・ペルスの議論に依拠しながら,「監査」や「政策」と相互作用する「倫理」の意味について問い直す。

収録刊行物

  • 国民経済雑誌

    国民経済雑誌 228 (1), 29-55, 2024-03-10

    神戸大学経済経営学会

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