イネのアレロパシー活性に対するイヌビエとレタスの反応比較

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  • Comparison of responses between barnyardgrass [Echinochloa crus-galli (L.)] and lettuce (Lactuca sativa L.) with allelopathic potential of rice (Oryza sativa L.)

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抄録

イネのアレロパシー活性に対するイヌビエの反応性についてレタスとの差異を明確にすること,またイヌビエを指標としたイネのアレロパシー活性における品種間差異を明らかにすることを目的として実験を行った.イネの根から抽出・同定された4種のフェノール性化合物(p-クマル酸,カフェー酸,バニリンおよびフェルラ酸)について,それらのイヌビエおよびレタスに対する影響を比較調査したが,全てのフェノール性化合物はイヌビエ種子根に対して500ppm以上の濃度で,またレタス幼根に対して50ppm以上の濃度でいずれも伸長を有意に抑制した.しかし,イヌビエ冠根に対しては化合物あるいはその濃度により伸長が促進あるいは抑制された.したがって,イヌビエに対する4種フェノール性化合物の影響はレタスの場合と異なる傾向が見られた.2草種同時検定法による評価では,チューブに接した点でのイヌビエ種子根長およびレタス幼根長の伸長率について,イネの品種間差異は認められなかったが,イヌビエとレタスとの間に有意な差異が見られた.6葉期におけるイネ苗の培養液は,無イネと比較するとイヌビエおよびレタスに対して有意な影響が見られなかったことから,イネの品種間差異についても明確にできなかった.以上の結果から,イネのアレロパシー活性に対するイヌビエとレタスの反応は異なることが明らかとなった.このことから,イヌビエに対して高いアレロパシー活性を示すイネ品種・系統を選抜するためには,イヌビエを検定植物とした新たな生物検定法を開発する必要がある.

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