夏型雑草メヒシバの資源利用と生理的統合
書誌事項
- タイトル別名
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- Resource exploitation and physiological integration of a summer-annual weed, Digitaria adscendens (H.B.K.) Henr
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説明
メヒシバはイネ科の1年草で, 全世界の温帯から熱帯に広く分布する強害雑草である.我が国にも全国的に広く分布し, 水田畦, 畑地, 園芸畑, 路傍, 空き地を中心に分布している.メヒシバが強害雑草として成功した理由は, 茎の下部をほふく化させ, 各節から不定根をだして定着する, 多量の種子を生産する, 複雑な種子休眠性により不斉一に発芽するなど, 撹乱にきわめて強い性質を持つからである.片岡(1990)によると, メヒシバには早生タイプと晩生タイプとがある.両タイプは生活史に大きな違いがあり, 早生タイプは短い前繁殖期間を経て, 順次開花する.一方, 晩生タイプは長い間栄養成長を行い, 植物体サイズを十分大きくしてから, 日長をスイッチとして比較的一斉に開花する.両タイプは生育地が大きく異なっている.早生タイプは園芸畑のような頻繁に撹乱される場所を中心に分布し, 晩生タイプは普通畑, 水田畦, 空き地のような撹乱の少ない場所を中心に分布する.先の生活史の違いは, このような異なる生育環境へ分化した適応結果と考えられている(片岡, 1990).さらに, 両タイプは体制についても大きく異なっている.早生タイプは直立し, 晩生タイプはほふく化する傾向が強い.この晩生タイプのほふく化は生育空間や資源量の拡大を促すため, 一種の栄養繁殖と見ることができる.しかし, 光や栄養素といった資源が不均一に分布する生育環境において, ほふく化することにどのような意味があるのか, 全くわかっていないのが現状である.そこで本研究では, 不均一環境下におけるメヒシバ個体の挙動を知るために, 次のような仮説をたてて検証した.(1)晩生タイプは早生タイプに比べて, より強く生育空間・資源量の拡大をはかるであろう.(2)晩生タイプはほふく茎を介した資源のやりとりをせず, 個体パーツがそれぞれ独自に資源を利用する傾向にあるであろう.
収録刊行物
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- 日本作物学会東海支部会報
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日本作物学会東海支部会報 3-4, 1996-06-10
日本作物学会東海支部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1540009770417287808
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- NII論文ID
- 110001796226
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- NII書誌ID
- AN10294131
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles