成長期児童における歯列弓形態の成長変化に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • Growth change of dental arch form in mixed dentition

この論文をさがす

抄録

本研究は,近年の日本人児童7歳から12歳(小学校1年生から6年生)までの経年口腔歯列模型を調査し,1964年の大坪らと比較することによって,歯列弓形態の成長変化の状況を解明することを目的とした.資料は29名の経年口腔歯列模型とし,各年齢における歯列弓長径,歯列弓幅径および上下顎第一大臼歯の頬舌的歯軸傾斜角を計測して以下の結果を得た.1.歯列弓長径の年間増加量ピークは,大坪らと比較し早期にみられたが,12歳において上顎は長く,下顎は短い傾向を示した.2.臼歯部幅径の年間増加量のピークは,大坪らと比較し早期にみられたが,12歳においては上下顎の歯列弓幅径は狭い傾向を示した.3.上顎第一大臼歯頬舌的歯軸傾斜角の年間増加量のピークは8歳でみられ,歯軸は頬側傾斜から舌側方向へと変化した。下顎第一大臼歯頬舌的歯軸傾斜角のピークも同様に8歳でみられ,歯軸は舌側傾斜から頬側傾斜へ変化した.以上のことから,1964年の大坪らと比較し,近年の日本人児童の歯列発育の特徴は,早熟化傾向と歯列弓幅径の狭小化傾向であった.すなわち,年間増加量のピークは低年齢化しているが,その後の成長量は少ないことが示された.また,下顎第一大臼歯の歯列弓幅径と頬舌的歯軸傾斜角は同時期に年間増加量のピークがみられ,歯列弓幅径の狭小化に第一大臼歯頬舌的歯軸傾斜角が関与していた.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (45)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ