Ekman-Westborg-Julin syndrome の 2 症例における歯科矯正学的所見

  • 石井,紀子
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面頸部機能再建学系顎顔面機能修復学講座顎顔面矯正学分野
  • 辻,美千子
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面頸部機能再建学系顎顔面機能修復学講座顎顔面矯正学分野
  • 大山,紀美栄
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面頸部機能再建学系顎顔面機能修復学講座顎顔面矯正学分野
  • 黒田,敬之
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面頸部機能再建学系顎顔面機能修復学講座顎顔面矯正学分野
  • 坂本,朝
    坂本矯正歯科クリニック

書誌事項

タイトル別名
  • Orthodontic view of two cases of the Ekman-Westborg-Julin syndrome

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説明

Ekman-Westborg-Julin syndromeは, きわめてまれな症候群であり, 全歯にわたり著しい形態異常を示す巨大歯をもつため, 重篤な不正咬合を伴う疾患である.著者らは本症候群と思われる2症例を経験したので報告する.患者はそれぞれ初診時年齢 およびの男子で, 上顎前突および叢生, 歯の形態異常を主訴として矯正科に来院した.2症例ともに, 残存する第二乳臼歯および萌出している永久歯の歯冠幅径は, すべて+2∿+6S.D.を示す巨大歯で, エナメル質の形成不全を伴っていた.さらにその歯冠形態は, 前歯では辺縁が薄く極度のシャベル状を呈し易破折性, 臼歯では咬頭形成が不全で, 咬合面に多数の皺襞をもつキャベツ状の巨大歯であり, その巨大化の傾向は後方臼歯ほど顕著となっていた.2症例とも下顎第三大臼歯歯胚はオルソパントモグラム上で通常の約2倍の大きさを示し, 歯牙腫様であった.2症例ともにGバンド法による染色体検査では異常はみられなかったが, 眼間開離, 扁平な鼻尖部, 粗造な皮膚, 濃い毛髮等の所見が認められた.また全身成長ならびに精神発達では, 第1症例で骨年齢に2歳程度の遅延が認められた他に問題はなかった.矯正治療を行うにあたっては, 上下顎骨の不調和は小さいものの, 巨大歯による叢生に対しては, 上顎中切歯ないし側切歯, 下顎小臼歯, 下顎第三大臼歯歯胚の抜去によりディスクレパンシーを解消した後, エッジワイズ装置により歯列排列を行う方針である.また, 歯冠形態修復等の補綴治療も考慮する必要がある.

収録刊行物

参考文献 (22)*注記

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