Krukenberg腫瘍の特徴的超音波所見
書誌事項
- タイトル別名
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- Characteristic Ultrasonographic Findings of the Krukenberg Tumor
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説明
Krukenberg腫瘍の超音波像は, 一般に, 充実性部分と嚢胞性部分の混在する, いわゆるmixed patternを呈するとされ, 原発性卵巣癌との鑑別が困難であるとされている. しかし, Krukenberg腫瘍は, びまん性の癌浸潤とムチン産生の小腺腔形成および間質の増生という病理組織学的特徴を有し, これらが超音波画像上にも反映され, 原発性卵巣癌との鑑別が可能かどうか検討するため, 今回, その超音波像の特徴を検索した. 1978年以降, 当科で診断されたKrukenberg腫瘍14例の超音波所見を, 腫瘍辺縁, 充実性部分, 嚢胞性部分の性状について詳細に検討した. また, 比較検討のため, 原発性卵巣癌14例, 超音波像上充実性部分を有する未分化胚細胞腫2例, 癌肉腫, 悪性リンパ腫, 線維腫各1例についても, 同様の検討を加え, 以下の結果を得た. 1) Krukenberg腫瘍の超音波像は以下の2種類に分かれる. 一つは, 腫瘍辺縁が明瞭で, 充実性部分がirregularでhyperechoic, そのなかに嚢胞壁が不明瞭で不整な, 虫喰い様のcyst formationのあるもの, もう一つは, 腫瘍辺縁が明瞭で, 中心部に大きな嚢胞を形成し, その周囲が分厚い充実性部分を呈するものである. 前者は14例中13例に, 後者は1例に認められた. 2) 原発性卵巣癌は, 腫瘍辺縁が不明瞭なことが多く, 充実性部分はKrukenberg腫瘍に比べてlow echoicで, 嚢胞性部分は壁が比較的明瞭で, 乳頭状突出や隔壁の不整肥厚も認められた. 原発性卵巣癌14例で, Krukenberg腫瘍との鑑別が可能であったのは11例(78.6%)であった. 3) 悪性リンパ腫, 線維腫ではcyst formationは認められず, 未分化胚細胞腫は原発性卵巣癌に類似し, 癌肉腫はKrukenberg腫瘍との鑑別が困難であった. 以上より, Krukenberg腫瘍は, 超音波像において, 原発性卵巣癌と鑑別が可能な特徴的所見を呈することが判明した.
収録刊行物
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- 日本産科婦人科學會雜誌
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日本産科婦人科學會雜誌 41 (12), 1929-1935, 1989-12-01
日本産科婦人科学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1540291245357408512
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- NII論文ID
- 110002228875
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- NII書誌ID
- AN00190060
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles