東アジア企業の経営志向について : 金融機関の評価(信用格付)と企業の対応から見る各国企業の相違について

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  • Management-oriented Research in the East Asia Companies : The Feature of the East Asia Companies which Analyzes from Rating of a Financial Institution, and Correspondence of a Company

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抄録

本稿は国際経営比較という広義の国際経営論の領域において、東アジア諸国の経営志向の特徴を分析しようとしたものである。従前各国の経営比較を実施した先行研究については、企業内等でのアンケート調査を中心に分析したものが大半を占めた。本稿では、比較分析の対象を各国の経営者とし、経営者と利害関係者の関係から分析を実施する点が斬新な点である。具体的な分析方法は、上場企業の財務データであるMoody's International Company Dataを利用し、信用格付という民間金融機関が取引先のデフォルト率を算出し点数化をおこなう手法を基にしている。具体的には、各企業の会計年度毎の信用格付を算出し各国の信用格付の時系列的な変化と、信用格付と翌期の借入増減の関連から経営志向の国別の特徴を分析したものである。東アジア諸国の経済と企業は各国とも大きな発展を遂げた。しかし、90年代のアジアミラクルと言われる経済成長の内容や、その後のアジア通貨危機の影響度は各国毎に大きな違いがある。本稿では、各国のデフォルト率の時系列的な相違や、借入増減との関連性の相違は、各国のミクロ的要因や文化・価値構造の違いによるものと仮定し、その特徴を数値的に分析する。また分析結果により、文化人類学によるパーソンズとベラーの分類方法により対象国を米国型、日本型、中国型に分類した。分析の結果、デフォルト率の分布や平均については、国別の特徴が発見できた。また1991年より1998年までの時系列分析においては、年次が進行するとともにデフォルト率が高まること。またアジア通貨危機の影響が大きかった国ほどその進行度合いが高いことが明らかになった。また信用格付の借入金増減には、一般化できる形態はあるものの、各国ごとに特徴があることが明らかになり、華僑の影響力が強いと言われる国についても早期に経済発展が進むにつれ、米国型の特徴が見られることが明らかになった。

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