デジタル画像相関法と三次元有限要素解析を併用したマルチブラケット装置の力学的検討 : 上顎前歯部口蓋側牽引時における歯根周囲での応力分布について

  • 神原,学
    明海大学歯学部形態機能成育学講座歯科矯正学分野
  • 松井,成幸
    明海大学歯学部形態機能成育学講座歯科矯正学分野
  • 大塚,雄一郎
    明海大学歯学部形態機能成育学講座歯科矯正学分野
  • 櫻井,洋介
    明海大学歯学部形態機能成育学講座歯科矯正学分野
  • 鐘ヶ江,晴秀
    明海大学歯学部形態機能成育学講座歯科矯正学分野
  • 梅崎,栄作
    日本工業大学工学部機械工学科

書誌事項

タイトル別名
  • Dynamic study of multi-bracket appliance using a digital image correlation method combined with three-dimensional finite element analysis : Stress distribution in the root surroundings during maxillary anterior retraction

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説明

矯正歯科臨床において作成されたフォースシステムが適切であるかを判断するためには,矯正力を負荷した際の歯根周囲の応力分布状態と同時に,その応力の大きさについて理解しておくことが重要である.本研究の目的は,マルチブラケット装置の力学的解析におけるワイヤーとブラケット間の摩擦や歯と歯のコンタクトの問題を補うため,デジタル画像相関法と三次元有限要素解析を併用し,上顎前歯部口蓋側牽引時における歯根周囲での応力分布状態の観察を行うことである.まず,マルチブラケット装置(0.018×0.025inch)を装着した歯列モデルを作製し,デジタル画像相関法を用いて0.017×0.025inchのステンレススチールワイヤーに付与したtear drop loopを1mm活性化した際の個々の歯の変位解析を行った.次に,得られた歯の変位量および変位方向の結果と近似した変位量を示す荷重を三次元有限要素解析で算出し,歯根周囲で発生している応力状態の観察を行った.これにより,コンタクトおよびワイヤーとブラケット間の摩擦の状態を考慮した,歯の移動時における応力解析が可能となった.その結果,中切歯および側切歯は口蓋側へ傾斜移動し,犬歯および第二小臼歯は近心方向へと傾斜移動する様相がみられた.また,すべての歯において圧迫側では-1.0×10^<-2>kgf/mm^2を超える応力が発生していることが明らかになった.本研究で行った方法を用いて,今後さまざまな矯正力を想定した歯根での応力分布を観察することが可能となったと考えられた.また,今後矯正治療をより効率的に行うために,解析から得られた結果を考慮したフォースシステムの作成の検討が可能となった.

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被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (64)*注記

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