組織内濃度からみたシスプラチン療法の効果と副作用の検討

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  • Effect, Toxicity and Tissue Concentration in the Clinical Use of Cis-Diamminedichloroplatinum(?)

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シスプラチン(cis-diamminedichloroplatinum(?U),以下CDDPと略す)の生体内臓器蓄積性および投与限界量を明らかにすることを目的に,組織内濃度を測定し,臨床的ならびに組織形態学的検討を加えた.1.CDDP療法が施行された婦人科癌患者剖検11例(卵巣癌10例,絨毛癌1例)におけるその総投与量は,55mg~560mgで500mg以上の投与例は,卵巣癌2例(525mg,555mg),絨毛癌1例(560mg)の3例であった.2.腎毒性は,臨床的機能検査では著明な低下を見ず,組織学的所見でも軽度の障害を認めたにすぎず,総投与量の多少による差はみられなかった.3.肝・腎・残存病巣における総platinum(以下Ptと略す)最高濃度はそれぞれ11.97μg/g,7.61μg/g,6.55μg/gと肝に多く認めた.4.組織内濃度と投与コース数(総投与量)との間に有意な相関がみられたのは,腹腔内残存病巣内濃度のみで,肝・腎で一定の傾向をみなかった.これらの結果から,著者らの方法によるCDDP療法では,十分な補液と利尿剤を併用すればその毒性は軽微で,総投与量500mgまでは著しい副作用を認めることなく,十分投与可能であることが明らかとなった.

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