子宮頚癌患者のリンパ球姉妹染色分体交換(SCE)に関する検討

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  • Sister Chromatid Exchange (SCE) in Lymphocytes of Patients with Cancer of Cervix Uteri

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抄録

子宮頚癌と姉妹染色分体交換Sister Chromatid Exchange(SCE)との関連性を解明する目的で、治療前の子宮頚癌患者31例(0期:7例、I期:9例・II期:6例・III期:9例)および対照として子宮筋腫患者7例、正常女性16例の末梢血リンパ球における自然およびMMC誘発SCE頻度を検討するとともに、SCE頻度に影響をおよぼす可能性のある因子(年齢、喫煙、飲酒、原爆被爆および癌家族歴)に関して調査し、以下の成績を得た。1)子宮頚癌群と正常者群の平均年齢には差がなく、また加齢や喫煙、原爆被爆によるSCE頻度への影響は認められなかったが、癌家族歴を持つ子宮頚癌患者のMMC誘発SCE頻度は癌家族歴の無い者に比べ有意に高値であった、2)対象群別には子宮頚癌群の自然SCE頻度(9.83±1.74)は子宮筋腫群(8.13土0.81)、正常者群(7.59±0.85)に比較して有意な高値を示し、またMMC誘発SCEにおいても同様に子宮頚癌群(20、27±2.30)は子宮筋腫群(17.62土1.78)、正常者群(17.60±2.41)に比較して有意に高値であった。3)子宮頚癌群における進行期別自然SCE頻度は0期:8.69±1.31、I期:8.92±1.04、II期:10.31±1.67、III期:11.31±1.60と進行期とともに上昇し、いずれも正常者群に比べ有意な高値をしめしていた。MMC誘発SCE頻度も自然SCE頻度と同様な傾向が認められ、II期とIII期では正常者群に比べ有意差が認められた。4)各染色体群におけるSCE頻度を検討した結果、子宮頚癌群におけるSCEの増加にはすべての染色体が同程度に関与することが判明した。以上の結果子宮頚癌患者では正常者に比較して末梢血リンパ球のすべての染色体のDNAが障害されており、またその程度は癌の進行とともに増強していることが認められ、子宮頚癌における担癌あるいは癌化の指標としてのSCE検索の有用性が示唆された。

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