エストロゲン活性を示さない八味地黄丸により,老人性膣炎の治療は可能か : その細胞学的,内分泌学的検討

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  • Hachimijiogan Having no Estrogenic Activity is Effective for Senile Colpitis

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八味地黄丸(ツムラ,5.0g中に乾燥ニキス粉末2.0g含有)を老人性膣炎88例に1日量7.5g 4週間投与し,その有効性と内分泌の変動,膣細胞像の変化を検討した.1. 血性・かつ色6黄色の帯下を主訴とした66例では帯下消失73%,帯下改善26%計99%の有効性が得られ,症状改善に要した期間は89%が2週間以内であった.2. 腔・外陰部痛痒感を主訴とした11例では症状消失36%,症状改善55%計91%の有効性が得られ,症状改善に要した期間は64%が2週間以内であった.3. 膣壁及び子宮腔部の斑点状の発赤を認めた62例では消失63%,改善34%計97%の有効性が得られ,症状改善に要した期間も87%が2週間以内であった.4. 膣細胞診ではmaturation indexの右方移動が認められ,勇基底細胞が有意に減少(p<0.01)し,中層細胞が有意に増加した(p<0.01).また白血球や組織球の減少等背景因子の改善も認められた.5. 血中FSH,E_1,E_2の投与前後における変動は認められなかった.またエキス剤におけるホルモンの含有も認められなかった.以上のことから,八味地黄丸は老人性膣炎に有効であり,且室細胞診・内分泌の検討からホルモン依存性腫瘍合併例における治療薬としての可能性が考えられる.

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