経腔超音波断層法による妊娠初期画像と血中hCG値との相関 : 超音波排卵日診断に基づいた検討

書誌事項

タイトル別名
  • Transvaginal Ultrasonographic Findings and hCG Levels in Early Intrauterine Pregnancies

この論文をさがす

説明

超音波卵胞モニタリングにより排卵日を診断し得た妊娠症例を対象として経腔超音波断層法を用い胎嚢(GS), 胎児心拍動(FHM)検出時期, 胎芽発育動態ならびに血中hCG値との相関を検討し, 以下の成績を得た. 1)GS像は最も早期で妊娠30日(4週2日)に観察され, 妊娠4週台で57.9%(22/38), 妊娠5週前半で94.7%(36/38)に検出可能であり検出時期の平均は妊娠34.1±2.5日であった. 一方FHMは妊娠5週台で30.0%(18/60), 6週前半で80.0%(48/60)に観察され, 平均は43.0±2.8日となった. 2)GSは最小2mmから観察可能で妊娠日数とGS径はy=1.377x-40.578, R^2=0.821と良好な相関を示した. また胎児最大径と妊娠日数もy=0.688x-24.422, R^2=0.653とGS同様良好な相関を認めた. 3)直径6mm以下のGS検出時の血中hCG値は692~7,690mIU/mlに分布し平均は3,607±2,419mIU/ml(1st IRP)を示した. FHM検出時のhCG値の平均は27,870±14,608mIU/mlであった. 4)GS検出の有無とhCG値の相関に関しては, hCG値1,000mIU/ml未満では10例中1例にのみGSが検出され, 1,000~2,000mIU/mlでは6例中5例に, 2,000mIU/ml以上では15例全例でGSが検出可能であり, GS検出時のhCG値のdiscriminatory zoneは1,000~2,000mIU/mlと考えられた. 以上より, 超音波排卵日診断に基づいた経腔超音波断層法の検討によりGS検出時のhCGのdiscriminatory zoneを従未の経腹法に比較して低値に設定可能となり異常妊娠の早期の除外診断が可能となるものと考えられる. さらに妊娠の極めて早期よりGS, CRLの発育曲線の作成が可能となり, 正確な排卵日診断に基づいた経腔超音波断層法の検討が妊娠初期胎芽発育動態の解明に有用な手段となりうることを明らかにした.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ