腹白米に関する研究 : 腹白部の組織ならびにでんぷんに関する二、三の知見

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説明

腹白米が保持する白色不透明な腹白部は、従来粒の透明化の過程で取り残された部位だと考えられてきた。しかし、筆者らは登熟過程中の生玄米を追跡調査した結果、一端透明化した粒が脱水過程で腹白を発現することを明らかにした。さらに、この脱水と腹白発現との関係は実験室内においても確認することができた。すなわち、透明化した生玄米を室内に放置すると、粒からの脱水が進むにしたがって腹白が発現することが明らかになった。この現象は腹白の発現には水分放出にともなう粒の脱水収縮過程が大きく関与していることを示唆するものと考えられる。この場合、当然貯蔵物質の大部分を占めるでんぷん粒の脱水収縮が腹白の発現に係わることが予想される。一方、でんぷん粒の非晶質部(ゲル相)では吸水時の膨潤や脱水時の収縮が強度に行なわれると言われている。そこで、腹白発現とでんぷん粒の結晶性との関連について検討を加えた。 また、走査電子顕微鏡の観察から、腹白部は胚乳細胞を満たす複粒でんぷん粒間に空隙が存在し、明らかにporousな組織であることを認めた。このことは腹白部において貯蔵物質の蓄積が劣るとともに、でんぷん粒の発達も劣ることを示唆するものと考えられる。そこで、腹白部の生成との関連からでんぷん粒の発達と貯蔵物質の蓄積の問題についても検討を加えた。

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