17. 地震被害を受けた構造物の安全/危険性の評価について : 被災度判定制度の日米比較の試み

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抄録

1.背景 地震災害後の被害建物の安全性/危険性を迅速に判定する事は、復旧作業の効率化や災害後の社会的な安定のために重要である。日米の被災度の判定制度を比較し、今後の課題を探った。2.概要 日本では、1980年南イタリア地震における大量の建物被害の発生を契機として建物被災度の判定と復旧に関する技術開発が建設省「総合技術開発プロジェクト」として推進され、その成果は1975年メキシコ地震の支援技術として適用され高い評価を得た。米国では、日本技術者のメキシコにおける活動をきっかけとして、技術開発と運用制度の整備が進められ1989年ロマプリータ地震で組織的な被災度の判定が行われた。さらに、1994年ノースリッジ地震では教訓を活かした対応がとられた。日本に於いても神奈川県、静岡県で被災度の判定士が制度化され、育成が進められている。しかし、活動が行われた地震はまだ無い。ロマプリータ地震やノースリッジ地震の場合にみられるように被災度の判定が的確に進められるためには、危険建物の使用制限・管理など建設分野以外の連携・協力が重要である。3.結語 日本では、事前予防的観点から構造物の耐震性が強化されてきた結果、著しい被害が生じることが少なくなっているが、地震後の復旧のための組織体性は不十分である。また、被災者支援のためのボランティア活動がようやく一般化してきている状況にあり技術者のボランティア活動が効果的に行われることは期待しにくいのではないか。カリフォルニア州では多数の被害構造物が発生しているが地震後の被災度の判定を始めとして復旧活動が迅速に組織的に行われるようになってきている。神奈川県などで進められているボランティア技術者組織・体制の整備と併せて学協会の協力など日本型の被災度の判定を効果的に行うことを検討する必要がある

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