ABO血液型不適合腎移植の術前後の管理 : DFPPによる合併症について(<特集>白血球系細胞除去療法の最近の展開)

  • 中川,由紀
    新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野
  • 齋藤,和英
    新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野
  • 谷川,俊貴
    新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野
  • 西,慎一
    新潟大学大学院医歯学総合研究科腎膠原病内科学分野
  • 上野,光博
    新潟大学大学院医歯学総合研究科腎膠原病内科学分野
  • 下条,文武
    新潟大学大学院医歯学総合研究科腎膠原病内科学分野
  • 高橋,公太
    新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Perioperative Management of ABO-Incompatible Kidney Transplantation : Focused on Double Filtration Plasmapheresis (DFPP)

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説明

新潟大学医歯学総合病院における最近のABO血液型不適合腎移植の免疫抑制療法を含め, 術前後の二重濾過血漿分離交換(DFPP)の管理・問題点, 合併症について検討した.術前のDFPPは膜分離特性から選択的ではあるが, 低アルブミン血症と, これに伴う血管内脱水, 低血圧, 腹水, 腸管浮腫を併発してしまう.そこで以前から施行していた8.5%置換液を12.5%の置換液に変更することで, これらの問題点の解決を試みた.12.5%では8.5%に比べBV(循環血液量)%の低下が軽度で, ヘマトクリット濃縮, 血管内脱水の軽減がはかられていることがわかった.移植腎を含む周術期の循環動態に及ぼす安全性を考慮した場合, 置換液アルブミンの濃度を12.5%以上に設定することは, 有効な治療法と考えられた.術後, 抗A・抗B抗体による液性拒絶反応が疑われた場合, その治療法としてまず抗体除去を目的としてDFPP・Plasma Exchange (PEX)を施行する.DFPPはターゲットとしている分子量にあわせ, この近傍の分子を選択的に除去するのに最適な方法であるが, しかし術前と同様, 実際には必要な物質も除去されてしまう.バシリキシマブはIL-2受容体(CD 25)に対するキメラ型モノクローナル抗体で, 近年, 腎移植における拒絶反応抑制のために頻用されている.免疫グロブリン分画に属するため, DFPPにより容易に除去されてしまう.筆者らは移植後, DFPPにてバシリキシマブが除去された症例を経験したので報告する.

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