卵巣癌の後腹膜リンパ節転移に関する臨床病理学的検討

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  • Clinico-pathologic Evaluation of Retroperitoneal Lymph Node Metastasis in Ovarian Carcinoma

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抄録

後腹膜リンパ節郭情が行われた18例の上皮性卵巣癌について臨床病理学的検討を行った. リンパ節転移率は全体で44.4%であり, III期で50.0%, IV期100%であった. 組織型別のリンパ節転移率では, 漿液性嚢胞腺癌が最も高く66.7%に達していた. 組織分化度とリンパ節転移は相関傾向を示し, 低分化型癌では75.0%にリンパ節転移がみられた. 腹水量, 腹水細胞診, 腹膜播種, 両側性卵巣腫瘤はリンパ節転移の positive risk factor であった. リンパ節転移を有する症例では有意に腹水量が多く, 腹膜播種のない例もしくは腹水細胞診が陰性の症例ではリンパ節転移がなかった. リンパ節転移の部位としては, 傍大動脈節が最も多く, リンパ節転移を有する症例はすべて傍大動脈節転移を有していた. 以上の結果から, 上皮性卵巣癌における後腹膜リンパ節転移の risk factor として臨床進行期, 漿液性嚢胞腺癌, 低分化型癌, 大量腹水, 腹膜播種, 腹水細胞診陽性, 両側性卵巣腫瘤が考えられた. さらに, リンパ節転移の経路として腹水, 腹膜を介する経路の存在が示唆された.

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