胎児ダウン症のスクリーニング法としての母体血中α-fetoprotein測定の診断的価値

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  • Maternal Serum Alpha-fetoprotein as a Screening Test for Fetal Down Syndrome

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胎児ダウン症では母体血中α-fetoprotein (MSAFP) は低値を示すことが知られているが, 本邦においてダウン症診断スクリーニング法としてのMSAFPの診断精度について詳細に検討した報告はないので, 今回の検討を行った. 1989年10月より1994年6月までの期間に, 妊娠14週から20週の間に胎児染色体異常の出生前診断を目的として羊水穿刺が行われた際に母体の肘静脈より全例採血を行った. 正常児と判明した妊婦700例(対照群)と, ダウン症を有する妊婦11例(ダウン症群)について検討した. 対照群における各妊娠週数の中央値(median)を算出し, negative predictive value, positive predictive value, sensitivity, specificity, false positive rateを比較検討した. 対照群とダウン症群におけるmultiple of median (MoM)の平均値はそれぞれ 1.12±0.67と0.78±0.47であった. カットオフ値を<0.45, <0.50, <0.55, <0.60 MoMに設定した場合の negative predictive valueは98.6%, 98.5%, 99.0%, 99.2%であり, また positive predictive valueはそれぞれ 6.3%, 4.0%, 9.1%, 8.6%であり, ともにカットオフ値の違いによる差はほとんど認められなかった. しかし sensitivityはカットオフ値を高くするに従い, 9.1%, 9.1%, 36.4%, 54.5%の順に鋭敏になった. 逆に false positive rateは2.1%, 3.4%, 5.7%, 9.1%の順に高率となり, specificityが低下した. また母体年齢とMSAFPを組合わせることにより, より正確なリスク評価を行うことが可能となった.

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