倉敷系マイマイガの成長とその変異 : 殺虫剤の生物試験用昆虫の飼育に関する諸問題第 47 報

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タイトル別名
  • Growth and its variation of the Kurashiki race of the Gypsy moth, Lymantria dispar L. : Problems on the breeding of insects for biological assay of insecticides XLVII

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抄録

1. 岡山県倉敷市において採集したマイマイガを, 温度16∿22℃, 関係湿度40∿85%の環境条件下で, 卵塊別にカキの葉をあたえて飼育し, それらの脱皮回数をたしかめると同時に, 幼虫頭幅の成長, 糞重の増加, 発育期間, 蛹重および翅長の変異などについても考察した.2. 幼虫の脱皮回数は, 雌5あるいは6回, 雄4あるいは5回で, 1卵塊におけるその個体数の割合は, おおむね脱皮回数の少ないものの方が多かつた.3. 幼虫頭幅の令期間の成長は, その対数値と令数との間に, 二次あるいはさらに高次の三次をあてはめることができた.4. 幼虫頭幅の個体間の変異は, 同一卵塊の同性, 同数脱皮個体の間にも有意性がみられた.5. 幼虫発育期間は, 雌雄ともに脱皮回数の少ないものほど短かく, 同一回数脱皮をおこなつた雌雄間では, 雌の方が長かつた.蛹の期間は, 雌より雄の方が長かつたが, 脱皮回数のちがいによる差はみとめられなかつた.全幼虫および蛹期間については, 同一回数脱皮をおこなつた個体では, 雌雄間の差に有意性がみられなかつた.発育期間は卵塊間でもある程度の差異がみられた.6. 令期ごとに累積した糞重の立方根の対数と, 令数との関係は二次の方程式をもつてしめすことができた.7. 蛹の重さは同一地域に産するものでも, 卵塊, 雌雄, 脱皮回数などによつてことなり, 雌は雄よりも大きく, 同じ雌または雄では, 脱皮回数の多い個体の方が, 大きい傾向をしめした.成虫の翅の長さにおいては, 雌雄のちがいは顕著であつたが, 卵塊, 脱皮回数による大きな相違はみとめられなかつた.

収録刊行物

  • 昆蟲

    昆蟲 36 (3), 237-249, 1968-09-20

    東京昆蟲學會

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