卵巣clear cell carcinomaの臨床病理学的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Clinicopathological Study on Clear Cell Carcinoma of the Ovary

この論文をさがす

説明

卵巣clear cell carcinomaは,近年増加する傾向にあり, その予後は他の上皮性卵巣悪性腫瘍と比べて悪いとされている. 1951年1月より1987年9月までに, 当院で経験した23例の卵巣clear cell carcinomaについて, serous carcinomaと比較しつつ, 臨床病理学的検討を行った. (1) 卵巣clearcellcarcinomaは, 全卵巣悪性腫瘍の7.1%を占めたが, 最近の1年9カ月では多発しており, 23.7%をも占めている. (2) 本腫瘍は, 子宮内膜症と高率に合併し, 未妊婦者の占める割合も47.8%と高い. (3) 術中所見では, 腫瘍と周辺組織との癒着例が多く, また約半数の症例に術中被膜の破綻を認めた. (4) 臨床進行期別頻度では, clear cell carcinomaはI期が82.6%, II期が8.7%, III期が8.7%, IV 期が0%であった. 一方serouscarcinomaは, それぞれ20.8%, 24.2%, 45.8%, 9.2%であった. Serous carcinomaのIII期症例が多いのに対し, clear cell carcinomaはほとんどの症例がI期であった. (5) 卵巣clear cell carcinomaは, 組織学的にsolid typeとtubular typeに分けられ, solid typeの方がやや多かった. (6) 3年生存率は, I期のみの症例では, serous carcinomaの95.2%に対し, clear cell carcinoma は54.5%と予後は不良であった. 組織型別生存率は, solid typeが50.0%, tubular typeが60.0%と大差を示さなかった.

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ