初妊婦におけるHHV-6抗体価と妊娠に与える影響の検討

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  • The Significance of Determination of Human Herpesvirus-6 (HHV-6) Antibody during Pregnancy

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抄録

human herpesvirus 6 (HHV-6)は, 1986年に初めて分離され, 突発性発疹の原因ウイルスであることが知られている. しかし, このウイルスが妊娠に如何なる影響を及ぼすかは全く知られていなかつた. そこで, 我々は正常妊婦及び自然流産患者の抗HHV-6抗体を測定, さらに, 流産紘毛内のHHV-6抗原の有無についても検討した. まず, 臍帯血リンパ球を10%FCS, 10%crude IL-2加RPMI-1640培地にて培養後, HHV-6 Hashimoto株を接種し, 巨細胞から合胞細胞化したHHV-6感染リンパ球を得, この細胞を抗原とした間接螢光抗体法(IF法)を用い初妊婦100名及び, 自然流産妊婦30名の血清中の抗HHV-6 IgG, IgM抗体価を測定した. さらに自然流産絨毛内のHHV-6抗原の有無を1次抗体に抗体陽性患者血清及びHHV-6モノクローナル抗体OHV-1を用いたIF法にて検索した. その結果, 正常初妊婦100名の抗体陽性率はIF法10倍以上を陽性とした場合82%であり, その平均年齢は26.5歳だつた. 平均抗体価は40倍であり, 年齢間に差を認めなかつた. また, 3%に抗HHV-6 IgM抗体が認められた. 自然流産30例中抗体陽性者は27例(90%)で, 5例(17%)が高抗体価(640~1,280倍)を示した. また3例にIgM抗体を認め, 3例の絨毛合胞細胞にHHV-6抗原が存在し, 組織学的にも同部位の変性を認めた. これらの結果より, 初妊婦の抗体保有率は約80%であり, 妊娠時にHHV-6初感染を生ずる妊婦の存在も明確になつた. さらに, 流産例17%に高抗体価例を認めたこと, IgM抗体陽性であった流産絨毛よりHHV-6が検出できたこと, 同部位の変性所見がみられたことなどはHHV-6の初感染が流産生起の一要因であることを明らかにするものである.

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