子宮頚癌における傍大動脈リンパ節転移の臨床病理学的検討

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  • A Clinical and Pathological Study on Paraaortic Lymph Node Metastasis in Uterine Cervical Carcinoma

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抄録

1982年6月より1990年3月までの間に北海道大学医学部産婦人科において広汎性子宮全摘出術を施行した初回治療の子宮頚癌303例について傍大動脈リンパ節転移と臨床進行期, 組織型, 子宮傍結合織浸潤, 骨盤リンパ節転移および予後との関連を検討した. 傍大動脈リンパ節転移は303例中16例(5.3%)に, 骨盤リンパ節転移は78例(25.7%)に認められた. 臨床進行期別の傍大動脈リンパ節移転率はIb期0.9%, II期4.5%, III期16.7%であり, III期において有意(p<0.001)に高率であった. 組織型別では, 扁平上皮癌4.9%, 腺癌8.3%, 混合型3.2%であり, 腺癌での転移率が高い傾向にあった. 傍大動脈リンパ節転移陽性例は, 93.8%が子宮傍結合織(parametrial initialzone (PIZ)を含む)にまで浸潤を認め, 子宮傍結合織浸潤陰性例では傍大動脈リンパ節転移は1例のみであった(1/114). また傍大動脈リンパ節転移陽性例は全例3部位以上かつ両側性の骨盤リンパ節転移を伴っていた. 傍大動脈リンパ節転移と骨盤リンパ節転移との関連の検討から, 4部位以上の骨盤リンパ節転移(48.3%に傍大動脈リンパ節転移), 両側性骨盤リンパ節転移(同じく34.8%), 総腸骨節転移(同じく41.9%)が傍大動脈リンパ節転移の高危険群と考えられた. これらの結果から, 子宮頚癌(通常Ib~IIb期)に対して広汎性子宮全摘出術を施行する際, 傍大動脈リンパ節郭清あるいは試験切除を行わないのであれば, 4部位以上の骨盤リンパ節転移, 両側性骨盤リンパ節転移もしくは総腸骨節転移がある症例については傍大動脈リンパ節転移高危険群として術後傍大動脈リンパ節領域の定期的検索を厳重にする必要がある.

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