胎児共存奇胎の管理 : 全国集計の結果と文献的考察

  • 松井,英雄
    絨毛性疾患研究会:千葉大学医学部産婦人科学教室
  • 飯塚,美徳
    絨毛性疾患研究会:千葉大学医学部産婦人科学教室
  • 関谷,宗英
    絨毛性疾患研究会:千葉大学医学部産婦人科学教室
  • 和氣,徳夫
    絨毛性疾患研究会:九州大学生体防御医学研究所
  • 半藤,保
    絨毛性疾患研究会:香川医科大学産婦人科学教室
  • 岡本,知光
    絨毛性疾患研究会:名古屋大学医学部産婦人科学教室
  • 友田,豊
    絨毛性疾患研究会:名古屋大学医学部産婦人科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • The Management of Hydatidiform Mole Coexistent with a Live Fetus

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説明

1997年絨毛性疾患研究会では胎児共存奇胎の全国登録を実施し, 以下の結果を得た. (1) 全国で登録された胎児共存奇胎は72例であり, 妊娠15週以降胎児の生存が確認された広義の胎児共存奇胎は48例(66.7%), 奇胎部分が遺伝学的に雄核発生であることが確認された狭義の胎児共存奇胎は18例(25.0%)であった. (2) 広義の胎児共存奇胎48例中排卵誘発を行っていた症例は12例(25.0%), 胎児奇形は2例(4.2%), 妊娠中毒症は10例(20.8%)に合併し, 妊娠中毒症合併例では続発率が有意に高かった(70.0%VS27.0%, p<0.05). (3) 23例(31.9%)が妊娠22週以降まで妊娠を継続し, 18例が平均33.9±4.6週で分娩に至り, 16例の胎児は生存した. (4)続発率は全体として30.6%(22/72), 広義の胎児共存奇胎48例では35.4%(17/48)であった. 続発症22例の内訳は臨床的絨毛癌2例, 臨床的侵入奇胎20例であり, 全例が化学療法により寛解した. (5) 狭義の胎児共存奇胎は18例であり, 文献的報告を含め, 現在まで31例が報告されているにすぎない. 続発率は46.7%(14/30)と高率であったが, 続発率と妊娠継続期間には相関がなく, 妊娠中毒症などの母体合併症を起こした症例での続発率は有意に高率であった. 以上のことより胎児共存奇胎は胎児の染色体検査で異常を認めなかった場合, 母体合併症を併発しないよう慎重に管理することにより生児を得ることが可能であると考えられた.

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被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (23)*注記

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