咬合挙上法に対する一考案 : 臼歯部トルクの反作用を利用して

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  • A new clinical trial in the bite-raising : The usage of the reaction of torque on the posterior teeth

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著者らは, 臼歯部トルクの反作用を利用した簡便な方法で咬合挙上を行った.今回, この方法を用いた症例を紹介し, その有効性についても検討した.患者は初診時の女性で, 上顎前歯の前突感を主訴として来院した.オーバージェット+6 mm, オーバーバイト+5 mm, 上下顎前歯は唇側傾斜, ANB 5°, FMA 27°であった.上顎第一, 下顎第二小臼歯を抜歯し, SWAマルチブラケット法で治療を行った.上顎前歯後方移動は, 0.016"×0.022"のステンレススチールワイヤーをトラベリングアーチとして用いた.その際, 臼歯部へクラウンバッカル方向のサードオーダーベンドすなわち, 軸線を中心に13°ねじり屈曲を付与した.そのワイヤーをブラケットへ装着することで生じる反作用を前歯部圧下力に利用した.下顎については, 大臼歯近心移動後, 0.016"×0.022"ステンレススチールワイヤーをリバースカーブを付与して用いた.同時に, ワイヤー臼歯部にクラウンバッカル方向のサードオーダーベンドを付与し, ブラケットへ装着した際の反作用を前歯部圧下力に利用した.その結果, 側面頭部X線規格写真における治療前後の重ね合わせから上顎で5 mm, 下顎で4 mm前歯の圧下が確認された.また, 実験からこの圧下力は咬合力により大きくなることがわかり, 本法は強い咬合力を有しかつ過蓋咬合を呈する症例に, 特に有効であると考えられた.

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