八味地黄丸の視床下部-下垂体-睾丸系機能に対する効果
書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of Hachimijiogan on Hypothalamo-Pituitary-Testicular System
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説明
八味地黄丸(ツムラ)とその構成々分と人参を幼若雄ラットに経口投与し,視床下部一下垂体一性腺系への効果について検討した.副性器重量は精嚢重量が八味地黄丸投与群で有意に増加し(p〈0.05),前立腺重量は八味地黄丸(p<0.01),山薬(p<0.05),人参(p<0.01)投与群で有意に増加した.下垂体中FSH含有量は,八味地黄丸と山薬投与群で各カ168.8±10.7μg/pit.,175.6±14.9μg/pit.とコントロール群118.4±17.1μg/pit.に比べ有意に増加した(p<0.05).下垂体中LH,PRL含有量,及び血中FSH,LH,PRL値には有意の変化を認めたかった.血中testosterone値は地黄,山薬,人参投与群で各々0.70±0.14ng/ml(p<0.05),0.34±0.03ng/ml(p<0.001),0.46±0.06ng/ml(p<0.01)とコントロール群1.30±0.20ng/mlに比べ有意に減少した.漢方薬自体のandrogen作用を,八味地黄丸,山薬,人参を幼若去勢雄ラットに経口投与して検討した結果,副性器重量の増加を認めず,この3剤の漢方薬自体にはandrogen作用はないことが判明した.八味地黄丸投与ラットの前立腺腫葉のdihydrotestosterone(DHT)receptorの解離定数Kdと結合部位数NBSを検討の結果,Kdはコントロール群3.06±0.21×10^<-9>M,八味地黄丸群3.30±0.14×10^<-9>Mで有意差を認めなかった.NBSはコントロ一ル群26.41±1.27f mol/mg prot.,八味地黄丸群34.88±1.30f mol/mg prot.で,八味地黄丸投与により有意に増加した(p<0.O01).Androgen作用がたいにも拘わらず副性器重量を増カロさせる八疎地黄丸の作用機序は,ラット前立腺において,DHT receptorのNBSを増加させるという細胞レベルでの新しい機序が明らかになった.本研究により,昔から使用されて来た八味地黄丸の細胞レベルでの作用機序が初めて明らかとなった
収録刊行物
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- 日本産科婦人科學會雜誌
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日本産科婦人科學會雜誌 35 (12), 2305-2310, 1983-12-01
日本産科婦人科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1541698620238906880
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- NII論文ID
- 110002189462
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- NII書誌ID
- AN00190060
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles