ブランコケムシより脱出せるプランコヤドリバチ Apanteles liparidis Bouche に寄生する寄生蜂に就いて(第 9 回大會號 (III))
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- 宮本,裕三
- 京都大學農學部昆蟲學究研室
書誌事項
- タイトル別名
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- On some parasitic wasps obtained from the cocoons of Apanteles liparidis reared on the caterpillars of the gypsy-moth
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説明
1) 京都に於いてブランコケムシより脱出した、ブランコヤドリバチの繭より得られた寄生蜂は、ヒメバチ首科、トビコバチ首科、シリホソクロバチ首科に屬する10科17種に上つた。しかし此等の寄生蜂の中には、ブランコヤドリバチの第二又はより高次の寄生蜂が含まれ、又直接ブランコヤドリバチを寄主とするものでも、同時に他の第一次寄生蜂をも寄主として、第一次寄生蜂であると同時に第二次又はより高次の寄生蜂である場合もあると推測される。2) ブランコヤドリバチの此等の寄生蜂により攻撃される率は、第一化に於いては38.6%, 第二化期に於いては43.4%に上る。3) 此等の寄生蜂の主なものについて、總寄生率、繭群内寄生率、繭群寄生率に分けて考えて見た。その結果各寄生蜂によつて繭群内寄生率、繭群寄生率に著しい差があるが、同一種の寄生蜂の繭群内寄生率と繭群寄生率との高低の間には、各寄生蜂を通じて何等の連關をも認める事が出来なかつた。4) 一つの種の寄生蜂で、繭群内寄生率、繭群寄生率の各々につき、プランコヤドリバチの第一化期と第二化期とを攻撃する場合、及び同じ時期でも、環境條件を異にするに従つて、可成の差が認められ、而も兩者の變化について、一定の聯關は認められなかつた。このことは繭群内寄生率及び繭群寄生率の兩者は共に外的要因に影響されて變化するが、その變化の量及び方向はその要因により區々であり、且つ同一要因についても繭群内寄生率と繭群寄生率との變化の間に一定の聯關を有しない様であることを示唆するものと考えられる。5) 各寄生蜂についてブランコヤドリバチの羽化後、寄生蜂の羽化までの日數を基礎として、各寄生蜂の卵より成蟲に至るまでに要する期間を推定して見た。その結果によると、各寄生蜂の推定發育期間は凡そ17日乃至23日で、ブランコヤドリバチの第一化期の羽化より第二化期の羽化までの期間平均23日とよく一致する。
収録刊行物
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- 昆蟲
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昆蟲 18 (3), 40-41, 1950-06-10
東京昆蟲學會
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1541980095212777856
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- NII論文ID
- 110003377769
- 110003377777
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- NII書誌ID
- AN0009425X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles