胞状奇胎の新大方式による管理成績

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  • On the Results of Hydatidiform Mole Managed by Niigata Method

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胞状奇胎妊娠中絶術後,週を単位に尿中hCGの減衰曲線を描き,中絶後5週で1000iu/日,8週で100iu/日の基準点を上回るものに対して,奇胎絨毛の遺残を確認する検査を施行し,治療を加える新潟大学管理方式を設定した.これにより13年間に518例を管理した.それらのうち,奇胎妊娠中絶術の初めから自院で治療,管理した118例を中心に奇胎のnatural historyと本管理方式による層別化の内容を明らかにした. 寄胎後化学療法を施行しなかつた89例についてみると,尿中hCGパターンI型(奇胎型)をたどるものが73例(82%)あり,そのうち肺転移や侵入奇胎などの含併症を有するものが8例(11%)あつた.またhCGパターンII型(侵奇型)をたどつたものは16例(18%)あり,そのうち胸部レ線やPAGなどで合併症を検出し得ず,単純な奇胎(新しい絨毛性疾患分類ではpersistent trophoblastic disease)と診断されたものが8例(50%)あつた. 奇胎妊娠中絶術の最初から自院で治療,管理した118例の合併症発見率は24.6%,奇胎妊娠中絶後他院から紹介されて来院した400例のそれは21.3%であつた. 奇胎後続発絨毛癌は,LHレベルを確認された単純全奇胎からは1例も発生しなかつた.しかしLHレベルを確認した転移性全奇胎から1例(2.7%),同じく転移性侵入全奇胎から3例(3.9%)発生した. 胸部レ線上の陰影発見は,奇胎掻爬後あるいは侵入全奇胎に対する子宮の手術後平均約40日を経過して証明されるものの多いことが判明した. 部分胞状奇胎にも,約15%に合併症を検出したが続発絨毛癌の発生は認めなかつた.

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