子宮頚部腺癌における細胞診偽陰性例の再検討

書誌事項

タイトル別名
  • Reevaluation for Overlooked Signs of Cervical Smears in Cases of the Uterine Cervical Adenocarcinoma

この論文をさがす

抄録

子宮頚部腺癌は子宮頚癌中約5%と発生頻度は低いが,screeningに際し重大な見落しの多い点が問題視されてきた.本研究は確定診断に至るまでに長期遅延をみた頚部腺癌患者における細胞診歴を再検査し,その原因の探求を目的とした.われわれが過去6年間に取り扱った頚部腺癌(混合型癌を除く)51例のうち,診断・治療前の6ヵ月~5年間にわたる再三の細胞診に拘らず,長い間確定診断に至らなかった診断遅延患者14症例に、ついて過去の細胞診標本の慎重な再検査を行った.その結果,12症例に見落された明らかな悪性所見が細胞診で捉えられた.すなわち遅延診断群の86%は標本採取法上の問題からではなく,実に細胞診判定上の原因によったことが明らかとされた,これらfalse negative の具体的な原因は腺癌にみられる,細胞のrosette様配列ないしは辺縁不規則なsheet状腺集団所見の見落しにあったことが明らかとされた.またこの頚管型に特徴的といわれるrosette様配列は,上記遅延群中10症例(71%)の標本に確認された.また上記診断遅延群のうち,狙い生検で病理診断ができなかったのが4例(29%)あり,そのうち3例は円錘切除によりはじめて確定診断に至っている.病理組織診断には生検は不可欠であるが,頚部腺癌の場合はこれのみでは診断が必ずしも容易ではない段階がある.しかし細胞診では早期頚部腺癌でも悪性所見をかなり捉えうる点で診断的価値は高く,さらに頚部腺癌が疑わしい時は円錘切除による積極的な検討が必要であるとおもわれた.

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ