子宮頸部乳頭状扁平上皮癌の臨床病理学的検討

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  • Papillary Squamous Cell Carcinoma of the Uterine Cervix : A Clinicopathologic Study of Twelve Cases

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抄録

目的:子宮頸部の乳頭状扁平上皮癌(Papillary Squamous Cell Carcinoma:PSCC)は, WHOの分類で, "著しい乳頭状構造を示す扁平上皮癌で, 表層の生検材料で上皮内進展のみがみられる症例でも浸潤の存在は否定できない."と説明されており, 扁平上皮癌の特殊亜型として知られている稀な癌である. 12症例のPSCCを経験したので, その臨床病理学的特徴を明らかにしようと試みた. 方法:1993~1995年の3年間に癌研究会附属病院婦人科で加療されたI~IV期の子宮頸癌296例のうち, WHOのPSCCの定義にあてはまる, 著しい乳頭状構造を示す扁平上皮癌12例を臨床病理学的に検討した. 成績:腫瘍の表面は著しい乳頭状構造を示し, その肉眼的形態は, 2種類に分類された. 一つはポリープ状腫瘍で, 内向性にも深い発育を示した. もう一つは軽度隆起性腫瘍で, 深部への浸潤と共に, 著明な側方浸潤-腔壁伸展を認めることが多かった. 病理組織所見では, 病巣の表層は, 中心に血管茎をもつ乳頭状構造を示し, 乳頭は10~15層以上の腫瘍細胞で被覆されていた. 被覆する細胞は, 1. 扁平上皮の異形成細胞に類似するもの, 2. 移行上皮癌細胞に類似するもの, 3. 扁平上皮癌細胞に類似するものの3種類が認められた. 特に表層が異形成細胞や移行上皮様細胞に類似した上皮のみで覆われている場合は, 癌とさえも診断することが難しかった. 浸潤の有無に関しては, 表層の生検ではわかりにくく, 浸潤を証明するためには深い生検や円錐切除が必要であった. 細胞診では, 全症例で浸潤性の扁平上皮癌と診断された. 結論:臨床的に, 著しい乳頭状構造を示す病変を子宮頸部でみた場合, PSCCを念頭において深い生検を試み, 癌を見逃さないようにすべきである. 浸潤の深さ, 腔壁伸展の有無を正確に診断し適切な治療をすることが大切である.

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