セイヨウニンジンボク(Vitex agnus-castus)抽出物のヒト培養子宮頸管線維芽細胞, 卵巣癌細胞および乳癌細胞に対する増殖抑制作用
書誌事項
- タイトル別名
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- Cytotoxic Effect of Vitex agnus-castus Extract on Human Cultured Uterine Cervical Fibloblasts and, Breast and Ovarian Cancer Cells
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説明
【目的】イスラエル産Vitex agnus-castus(和名:セイヨウニンジンボク, 以下Vitexと略記)の乾燥成熟果実より調製したメタノールおよびエタノール抽出物の, ヒトの培養子宮頸管線維芽細胞, 乳癌および卵巣癌細胞に対する殺細胞作用を検討した.【方法】これらの細胞を96well培養用ミクロプレートに播種24時間後に, Vitex抽出物(0~100μg/ml)を共存させて48時間培養した.また, 播種した細胞を72時間培養後, Vitex抽出物を同様の濃度で共存させて48時間培養した.処理細胞の生細胞率をXTTからのホルマザン形成量を測定する方法により計算した.さらに, Vitex抽出物による細胞死と細胞周期との相関性を検討するために, 処理細胞をPropidium iodide染色し, フローサイトメーターによる分析を行った.【結果】いずれの細胞の場合でも, 増殖速度が大きいほどVitex抽出物の存在による生細胞数の減少率が大きいことが示された.また, 増殖速度が小さい状態でVitex抽出物を作用させた場合には, 正常細胞ではほとんど作用しないが卵巣癌細胞では未処理細胞数の約25%, 乳癌細胞では約50%までの生細胞数の減少が示された.細胞周期とVitexの増殖抑制効果に明確な相関性は示されなかった.【考察】Vitex成分は, 増殖程度が高い細胞に対してより効果的に殺細胞作用を示し, 増殖の定常状態では, 正常細胞よりも増殖性を若干維持している癌細胞に対してより効果的である可能性が示された.このことから, Vitexの増殖抑制効果は単なる細胞毒性によるものではなく, 細胞の増殖過程に対する作用による殺細胞効果である可能性が示唆された.また, その効果は細胞周期の特定の時期と関連する可能性は低いものと判断された.
収録刊行物
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- 日本産科婦人科學會雜誌
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日本産科婦人科學會雜誌 52 (10), 1449-1456, 2000-10-01
日本産科婦人科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1542261570197587840
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- NII論文ID
- 110002184421
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- NII書誌ID
- AN00190060
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles