慢性腎不全に非代償性肝硬変症を合併した難治性腹水に対する腹水濾過還元on-line血液透析療法の有用性の検討(<特集>白血球系細胞除去療法の最近の展開)

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  • The Evaluation of Ascites Filtration and Reinfusion with Hemodialysis (AF On-Line HD) in 2 Cases with Renal Insufficiency Complicated with Hepatic Cirrhosis

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肝硬変による大量腹水をもつ腎不全症例では, 血液透析を行っても血圧低下が頻繁に起こり, 透析困難に陥りやすい.今回我々は非代償性慢性腎不全に肝硬変症を合併した2症例の難治性腹水に対して, 血液透析療法に逆濾過法による腹水濾過濃縮再静注療法を組み合わせた腹水濾過還元on-line血液透析療法(AF on-line HD)を試みた.腹水は低流量(約30ml/分)で回路内に導入し, 1次膜には大分子物質透過性に優れているが細胞類は通さないポリスルホン中空糸膜(PSフィルターAS)を用い, カプラー側から逆濾過を行った.濾過腹水は血液透析の動脈血側回路内の脱血側(ポンプ前)に直接注入した.本療法によって, 血圧の低下などバイタル・サインの変動なく難治性腹水を安全に軽減でき, 発熱も認めなかった.本法は肝硬変を合併する腎不全における難治性腹水に対して従来法の短所を克服しており, 有効かつ安全で, コストパフォーマンスに優れた方法であると思われる.

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