光重合レジン添加型グラスアイオノマーセメントの歯科矯正用ボンディング材としての臨床的評価 : DBS 患者におけるブラケットの脱落率, ディボンディング時の疼痛と歯面へのセメント残留について

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  • Clinical evaluation of the light cured resin-modified glass ionomer cement as an orthodontic bonding material : Incidence of bracket failure during treatment, pain reaction and residual cements at debonding

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マルチブラケット装置の接着に対し, 光重合レジン添加型グラスアイオノマーセメント(LC)とレジン系接着剤(SB)を同時に使用し, 治療期間中のブラケット脱落率とディボンディング時の歯の疼痛や歯面への接着剤残留の程度を比較検討することが本研究の目的である.研究対象は昭和大学歯科病院矯正科外来において, マルチブラケット装置が装着された18名の316歯である.ボンディングは, 上顎の片側にLCを, 他側にSBを用い, 下顎では左右で用いる接着剤を入れ換え, ブラケットは小臼歯部ではメタル(ME), 前歯部はMEまたはセラミック(CE)とした.ブラケットの脱落率は「脱落歯数÷総接着歯数÷来院回数×100(%)」として算定し, ディボンディング時の歯の疼痛をVAS法により評価し, 歯面への接着剤の残留状況を肉眼的ならびにレプリカによる実体顕微鏡にて観察し, 以下の結果を得た.1.LCのブラケット脱落率はSBの約半分で, 両者には統計学的有意差が認められた.下顎ブラケットの脱落率は上顎に比べて大きく, また小臼歯の脱落は前歯よりもわずかに多かった.前歯部にMEを用いるとCEに比べてやや脱落が多かったが, いずれの比較においても統計学的有意差は認められなかった.2.ディボンディング時の歯の疼痛(VAS値)に関して, LCはSBよりわずかに低く, また下顎歯は上顎歯よりも大きかったが, いずれの比較においても統計学的有意差は認められなかった.また前歯のVAS値は小臼歯よりも大きく, 前歯部においてMEのVAS値はCEに比べて低い傾向を示したものの, 両者の有意差はどちらも認められなかった.3.ディボンディング後の歯面に残留した接着剤は, LCにおいてSBよりも少ない傾向を示したが, 両者の接着剤残留指数の平均には大きな差は認められなかった.以上の結果より, LCはディボンディング時の歯の疼痛や歯面への残留状態はSBとほぼ同等であるが, 矯正用接着剤としてSBよりも治療中の脱落が少なく, 矯正臨床において有用な接着剤であることが示唆された.

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