3. 「阪神・淡路大震災」と情報 : 阪神間都市を中心とした初動情報と地域・詳細情報に関する問題と課題

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抄録

本報告は、本年1月17日の「兵庫県南部地震」による「阪神・淡路大震災」における初動情報と地域の詳細情報について、阪神間の都市を中心に検証を行うものである。この震災において、以下のような問題点と課題がより明らかになったと考えられる。 1. 初動に必要な情報を得る意味でも、情報の発信地点が少ない。人口規模の多い地域や被災地域が広い地域での情報発信点を増やすことも求められるであろう。 2. 報道機関の取材が神戸などの特定の地域に集中し、被災地全域それぞれの細かい情報が報道されなかったことが一つの問題としてあげられる。しかし、もう一方で、災害時の情報伝達を、日常から既設の報道機関に依存しすぎていたということもあるだろう。「災害時にはテレピ・ラジオから正確な情報を」という言葉を代表に、これまで、災害時には、テレピ・ラジオから情報を得るということが一般住民だけでなく行政レベルでもいわれていた。しかし、報道機関にも、人材・機材に限界がある上に、甚大な被害のために情報の収集・整理が難しかったということもある。 3. 今回の震災の被災地は、放送の「近畿広域圏」にあるということである。放送局の設置は、基本的に都道府県単位に行われているが、東京・名古屋・大阪は「広域圏」という、複数の都府県を対象とする形で放送局が設置されている。兵庫県の場合は、多くの人が大阪にある局の放送を見聞きしている。つまりは、放送局の対象とするエリアも人口も規模が大きいということである。そのため、被災地域が広かったり被災人口が大きいと、情報ニーズに十分にはこたえられないということがある。神戸にも放送局があるが、民間放送は全国放送のネットワークに加盟しておらず、被災地外にむけての情報発信が難しかったように考えられる。そして、被災した各市町村が独自に情報を伝達する手段が整備されていなかったということがある。阪神間の地域は人口規模が大きいところではあるが、独自で情報を伝達する手段がほとんどなかった。そのため、住民への情報の伝達は大阪か神戸の放送局などに依存するなどしか方法がなかった。 4. 情報の送り手だけではなく、受け手の側も情報の再整理などが必要となる。

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