チンキャップ治療後に前歯反対咬合の再発を生じた下顎前突症の顎顔面成長変化の特徴

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タイトル別名
  • Growth characteristics of prognathic face with relapsed incisor reversed occlusion following chincap therapy

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骨格型下顎前突症(skeletal class III)において, チンキャップ治療後に前歯反対咬合が再発した症例の顎顔面各部の成長変化について調べ, その顔面形態および成長変化の特徴について明らかとすることを目的とした.資料は, 初診時前歯反対咬合を示したskeletal class III女子の中から, チンキャップの適用を受けて被蓋の改善がなされ, その後の成長観察中に反対咬合の再発を生じた17名(再発群)の縦断的(平均8, 10, 14, 17歳の4ステージ)側面頭部X線規格写真(セファロ)である.また対照群として, チンキャップの適用後に獲得された正常被蓋が成長観察を通じて維持されていたskeletal class III女子18名(安定群)を用いた.セファロの透写図を作成し, 計測点の座標値, 顎顔面各部の線・角度計測を行い, 各ステージ間の変化量を求めて両群で比較検討を行った.結果は以下の通りであった.1. 初診時の顎顔面形態については, 下顎骨の大きさと形態, 後頭蓋底の長さにおいて両群間に差異が認められた.2. 下顎骨全体長(Cd-Gn)と前顔面高(N-Me)の総成長量(8歳より17歳まで)については, いずれも再発群の成長量が大きかった.3. 思春期後期(14歳より17歳まで)の下顎骨全体長および前顔面高の成長量は, いずれも再発群で大きかった.4. 後頭蓋底長(S-Ba)の総増加量は, 安定群の方が再発群より大きかった.以上の結果より, skeletal class IIIにおける前歯反対咬合の再発には, 思春期性最大成長期以後の下顎骨の成長量やその位置決定に関わる後頭蓋底の成長が複合的に関与するものと考えられた.

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