無脳児発生の免疫遺伝学的要因

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  • Anencephalus Immunogenetic Factor

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マウスに於いて、無脳症を含めた中枢神経管欠損症を発症させる免疫遺伝学的遺伝子領域として、T/tcomplexが明らかにされている。更に、そのT/tcomplexは、マウスMHCであるH-2complexと極めて近在しており、同様にヒトに於いても、MHC領域の類似性から、HLAcomplexとT/tcom-plexとの関係が示唆されている。今回我々は、ヒトに於ける無脳児発症の免疫遺伝学的要因を検討する目的で、無脳児を出産した夫婦及び、その児のHLA-DR・DRw52・53・DQ抗原系を検索し、以下の如き結果を得た。(1)無脳児を出産した夫婦に於いて、その妻のHLA-DR5抗原の遺伝子頻度は、健康人のそれに比べて有意に高かった。(2)その夫婦間のDR座の適合性は、健常夫婦のそれに比して有意に高く、DQ座に関しては、全ての夫婦が一つ以上の共通抗原を有していた。(3)無脳児を初回妊娠や第2子にて妊娠し出産した夫婦、つまり正常児より比較的高い頻度で無脳児を出産した夫婦では、その無脳児のDR・DRw52・53・DQ座は、ホモ接合体である傾向にあった。しかし、無脳児を第3子にて妊娠し出産した夫婦では、特異的なHLA抗原の型を認めなかった。以上より、正常児出産に比して無脳児を出産する傾向の高い夫婦では、その無脳児発症の要因として、免疫遺伝学的に、HLA-DR・DRw52・53・DQ座が深いかかわりを持つ事が判明した。

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