卵巣腫瘍患者における血清CA125、CEA、AFP、LDH及びLDH isoenzymeの検討 : とくに腫瘍組織型と各腫瘍マーカーの相関について

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  • Analysis of Serum CA125, CEA, AFP, LDH Levels and LDH Isoenzymes in Patients with Ovarian Tumors : Correlation between Tumor Markers and Histological Types of Ovarian Tumors

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当科にて治療を行なった卵巣腫瘍患者の術前血清CA125値(60例)、CEA値(178例)、AFP値(179例)、LDH値(279例)、LDHisoenzyme(41例)を測定し、卵巣腫瘍における、それぞれの腫瘍マーカーとしての意義を、とくに組織分類別に検討した。CA125の上昇は上皮性卵巣癌の10/16(62.5%)にみられ、とくに漿液性癌の5/5(100%)に陽性であったのに比し、ムチン性腫瘍及び胚細胞性腫瘍、性索一間質系腫瘍はCA125陰性であった。これに対し、CEAは上皮性癌の13/32(40.6%)に上昇し、なかでもムチン性癌4/5(80%)、腹膜偽粘液腫3/3(100%)、及びKrukenberg腫瘍8/10(80%)に高率に陽性であった。AFPの著明な上昇がみられたのは胎児性癌の4例のみであった、LDHは上皮性癌の16/39(41%)に上昇していたが、組織型別による特異性はみとめられず、一方充実性の胚細胞腫瘍(未分化胚細胞腫8例、充実性奇形腫1例、胎児性癌2例)では全例にLDHの著しい上昇がみとめられ、またLDH isoenzymeは上皮性癌、転移性癌でMsubunitへの偏位がみられたのと対照的に、これらの胚細胞腫瘍では正常ないしH subunitへの偏位がみとめられた。以上の検討から、CA125はムチソ性癌を除く上皮性癌、CEAはムチソ性腫瘍及びKrukenberg腫瘍、AFPは胎児性癌、LDH及びLDHisoenzymeは胚細胞性腫瘍とくに未分化胚細胞腫の、それぞれ腫瘍マーカーとして有用であり、またこれらの多種のマーカーの組み合わせにより術前の卵巣腫瘍組織型の鑑別診断もある程度可能と考えられた。

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