絨毛性疾患患者におけるエトポシドの卵巣機能に対する影響

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  • The Effect of Etoposide on Ovarian Function in Patients with Gestational Trophoblastic Disease

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抄録

エトポシド単独で治療したlow risk絨毛性疾患 (侵入奇胎, 臨床的侵入奇胎) 34例 (年齢23~51歳 : 33.6±8.2歳) を対象とし, 治療終了後60日以内にLH-RH負荷試験, estradiol (E_2), progesteroneを測定し, 基礎体温からみた排卵の有無についても検討し, 以下の結果を得た. (1) LH-RH負荷試験において40歳代の9例はいずれも前値が高く, 過剰反応を示し, 30歳代の45.5% (5/11), 20歳代の7.1% (1/14) も同様な傾向を示した. (2) 同時に測定したE_2, progesterone値は年齢と共に減少し, 40歳以上では各々55.6% (5/9), 66.7% (6/9) が測定感度以下であつた. また化学療法総投与量とE_2, progesteroneとの相関は認められなかつた. (3) 基礎体温にて排卵周期を認めた症例は年齢と共に減少し, 40~49歳では66.7% (4/6) が無排卵となつた. さらに治療終了後排卵までの期間は年齢と共に延長する傾向を認め, 化学療法総投与量との相関は認められなかつた. (4) 治療後妊娠転帰は11回の妊娠中9回が正期産であり, 自然流産率は9.1% (1/11) であつた. また胎児, 新生児の発育異常, 奇形の発症は認めなかつた. 以上よりエトポシドによる卵巣機能障害はすべての年齢で発症しうるが, 40歳以上の高齢者ではその障害が著明となり, 不可逆性変化を来す可能性がある. このため40歳以上の挙児希望症例に対するエトポシドの使用は慎重でなければならない.

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