シロイチモジマダラメイガおよびマメシンクイガの分布発生に関する研究 : 第 4 報世界における両種の分布とその寄主植物

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on the distribution and abundance of the lima bean pod borer, Etiella zinckenella Treitschke, and the soy bean pod borer, Grapholitha glycinivorella Matsumura : IV. On the distribution of the two species in the world and their host plants

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説明

シロイチモジマダラメイガは広くアジア, ヨーロッパ, アフリカ, 北米, 中南米, オーストラリアに分布する.その範囲は熱帯, 亜熱帯および温帯の暖地に及ぶが, 寒帯, 亜寒帯および温帯の冷凉な地帯には認められない.本種の分布北限は温帯の中部地帯にあつて, 大体夏期平均気温(5∿10月)19℃前後の(17∿20℃)の等温帯と一致している.したがつて本邦における分布北限の指標として提唱した夏期平均気温18.5∿19.5℃等温帯に, ある巾をもたせて考えるならば, 同等温帯は世界における分布北限の指標としても適用できると思われる.シロイチモジマダラメイガの寄主植物はマメ科植物の21属, 30種にのぼつている.一般に熱帯や亜熱帯のように気温の高い地帯では種類が多いが, 低温地帯では少ない.また地域的にも差があり, おもな寄主植物はアジア極東地域ではダイズ, ヨーロッパではダイズ, ルーピン, ニセアカシヤであるが, 北米ではインゲンマメやルーピンであつてダイズには寄生しないようである.これは単にマメ科の植物相の地域差ばかりでなく, 本種の生態が地域的に異なつていることも関係しているようである.マメシンクイガは極東の固有種であつて, 北緯約35∿53°の範囲に分布し, 主としてダイズを加害する.本種の発生は夏期平均気温16∿20℃の地帯に多く, その前後では減少する.本種の南限は本邦では種子島付近, 大陸では中国の中北部にあると思われる.この地帯は夏期平均気温23∿24℃の等温帯に相当しているようである.両種の代表的な混在地帯は本邦では本州の中部以南および四国, 大陸では中国の青島付近であつて, 夏期平均気温では20∿22℃の地帯である.

収録刊行物

  • 昆蟲

    昆蟲 29 (1), 39-55, 1961-03-30

    東京昆蟲學會

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