膨張性地山におけるメッセル工法 : 鴨川バイパス嶺岡トンネルの工事実績

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膨張性地山中に建設された延長725m, 内径11mの道路トンネルの施工報告である。嶺岡トンネルは千葉県鴨川市を通る丹沢嶺岡隆起帯に位置し, 地山は粘土化したジャ紋岩とケツ岩からなっており, トンネルの土カブリは30m以下と浅い。風化ジャ紋岩の粘土鉱物はアンチゴライトとクローライト, ケツ岩のそれはモンモリロナイトとクローライトである。トンネルは, 側壁導孔先進半断面方式によって掘削され, 強大な膨張性土圧に対処するため, 上部半断面掘削にはメッセル工法が用いられた。強大な土圧は, トンネル掘削により周辺地山に塑性域が形成拡大するためと考えられた。上部半断面アーチ支保工脚部での土圧は100~300tにも達した。このため, 新しい形のメッセル矢板と推力20tを有する推進用ジャッキが製作された。上部半断面掘削時の地表面沈下は, 最大200mmにも達した。これらの大きな地表面沈下量は, 余掘り, 支保工のタワミ, 矢板の破損などに起因するが, 特に, 切羽面掘削時の肌落ちに伴う余掘りの影響が大きい。これを防ぐためにメッセル矢板の矢先構造の改良が検討された。

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