骸炭用石炭の熱的諸性質に關する研究(上)

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説明

粘結性ある石炭必ずしも堅き骸炭を生ずるものに非ず、石炭の加熱に際し如何なる温度に於て鐵熔鑛爐に使用し得らるゝ如き堅實なる骸炭を生ずるものなるや即ち骸炭燒成温度の決定、燒成温度と其時間との關係、種々の温度に於ける瓦斯及びタールの溜出量、骸炭化の行程中に起る熱化學的の反應並びに骸炭爐内と類似の状態の下に於ける石炭の熱傳導率等使用石炭の熱的諸性質を知るに非らざれば骸炭用としての適否を決定する事能はざるは勿論延いては骸炭爐の効率の増加をも期待し得ざるや言を俟たず、故に本研究に於ては上記未知の各項を明かにし鐵熔鑛爐用骸炭製造上の基礎を確定せんとするの目的を以て本邦に於ける代表的骸炭用石炭四種、支那産石炭一種及び我製鐵所熔鑛爐用骸炭原料配合炭一種合計六種を選定し實驗を行ひ次の結果を得たり 一、骸炭燒成温度は最高八五〇度にて充分にしてこれ以上に昇すの必要を認めざるのみならず其性質如何によりては更に低温度にても可なり 二、石炭が骸炭に變化し始むる温度は骸炭用石炭にては略一定し又骸炭化の終了する時間は温度の上昇と共に短縮せらるゝものにして是又殆んど一定せるを認む 三、瓦斯發生状態は三五〇度より急に増加し七〇〇度以上に於て其割合減少の傾向を示せり、タールの溜出量は温度の上昇と共に減少せるを認む 四、骸炭化の行程中に起る熱化學的反應は發熱反應優勢なるを示し又骸炭爐内と類似の状態の下に於ける石炭の熱傳導率は〇・〇〇〇七乃至〇・〇〇〇八なる事を明かにするを得たり

収録刊行物

  • 燃料協會誌

    燃料協會誌 9 (91), 四〇二-四一一, 1930-04-20

    燃料協會出張所

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