広島大学病院矯正歯科の不正咬合患者における顎顔面部への外傷既往に関する臨床調査

  • 川合,暢彦
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頸部医科学講座歯科矯正学分野
  • 中村,彩花
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頸部医科学講座歯科矯正学分野
  • 大谷,淳二
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頸部医科学講座歯科矯正学分野
  • 本川,雅英
    広島大学病院口腔健康発育歯科矯正歯科
  • 當麻,愉衣子
    広島大学病院口腔健康発育歯科矯正歯科
  • 西,美香
    広島大学病院口腔健康発育歯科矯正歯科
  • 丹根,一夫
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科顎口腔頸部医科学講座歯科矯正学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical survey of traumatic injury to facial complex in patients with malocculusions of Orthodontic Department, Hiroshima University Hospital

この論文をさがす

説明

矯正歯科を受診した不正咬合患者における外傷既往の実態を把握するとともに,外傷と不正咬合の関連性を明らかにするため,2001年8月から2005年11月の期間に広島大学病院矯正歯科を受診した不正咬合患者1,000名を対象とした調査を行い,以下の結果を得た.1.外傷既往歴を有する不正咬合患者は1,000名中51名(5.1%)であった.そのうち,当科受診前に受傷した者が38名,当科にて治療中もしくは保定中に受傷した者が14名で,うち2名が重複した既往を有していた.2.受傷部位は乳歯,永久歯ともに上顎前歯が最も多かった.3.不正咬合については,患者全体では叢生が最も多かったが,外傷既往歴を有する患者では上顎前突が最も多く,約5割を占めていた.4.ほとんどの症例において,適切な外傷歯の処置により,その後の矯正歯科治療に大きな影響が及ぼなかったものの,打撲により乳歯の転位や埋入が生じ,後継永久歯への交換錯誤を引き起こした症例や外傷が顎偏位の原因と考えられる症例も認められた.外傷既往者に上顎前突の患者が多く,上顎前歯部が最も多い受傷部位であったことから,若年期に上顎前突の改善を行うことは,その後の健全な生活にとってきわめて有益と考えられる.また,外傷が不正咬合の原因となる症例も存在することから,初診時に外傷の既往について診査することの重要性が示された.

収録刊行物

参考文献 (39)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ