中国とロシアの経済成長と産業構造の変化の比較

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  • Comparison of Economic Growth and Industrial Structural Change between China and Russia

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抄録

ソ連崩壊の前後から、世界では多くの旧社会主義国が、社会主義計画経済から自由主義市場経済へと経済システムの移行を実施してきている。それらの国々の中には、中国のように産業構造の転換に成功し、輸出力を高め、高い経済成長率を維持している国もあれば、ロシアのように、現段階では産業構造や貿易構造の転換に成功しておらず、望ましい高経済成長率を維持できていない国もある。本稿の目的は、このような移行経済を経験してきた旧社会主義国において、産業構造の転換、輸出の振興、高い経済成長率を獲得するためにはどのような経済的要因が必要であるかについて、1990年から2011年における中国とロシアの経済を比較することによって分析を行った。具体的には、まず両国の海外からの直接投資、生産要素の拡大、産業構造の転換、貿易の拡大などに関する先行研究において重要視された経済要因について分析を行い、これらの経済要因がそれらの国々のGDPや貿易構造の変化に与える影響について実証分析を行った。分析の結果、海外からの直接投資や産業構造の変化が、経済成長を高める非常に大きな要因であることが分かった。すなわち、中国は海外からの直接投資を大量に受け入れ、それが農業などに象徴される第一次産業から製造業などの第二次産業への産業構造の転換に大きく貢献し、さらに輸出と国内総生産の拡大に繋がったことが分かった。一方、ロシアでは海外からの直接投資の誘致があまり進展せず、現段階では農業や鉱業などの第一次産業から製造業の第二次産業への産業構造の転換に成功していないことが、高い経済成長率を獲得できなかった主要原因であるという結論を得ることができた。

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