Current Situation and Agenda of Research on Management Accounting and Financial Management in SMEs

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  • 中小企業の管理会計・財務管理研究の現状と課題

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本稿では,中小企業を対象とした管理会計あるいは財務管理研究の現状を把握するとともに,(1)研究対象として中小企業の管理会計や財務管理がどのように取り上げられてきたのか,(2)アンケート調査に基づく経営者の視点から会計実務の実践について検討を行い,(3)これまで報告者が行ってきた実証的研究から明らかになっている知見を述べる。(1)については,過去50年間に及ぶ管理会計研究において,中小企業の管理会計や財務管理に焦点を当てた研究は十分とは言えず,今後さらなる研究に余地が残されていることが指摘できる。(2)については,中小企業庁〔2012〕によると,会計情報は毎月作成されているが,決算書以外で作成している会計関連書類の中で原価管理表や利益管理表は3割程度の中小企業でしか作られていないことが示されている。(3)については,熊本県と福岡市の中小企業を対象に行ったアンケート調査でも,回答企業の8割が原価計算や予算管理といった管理会計技法を用いて経営管理を行っているとの結果が得られたが,従業員数の多寡によって会計情報の利用度合いには相違があることが明らかになっている。しかし,それでも中小企業を対象とした管理会計・財務管理研究において,その現状や研究上のインプリケーションは十分に得られていない。その課題は,その実務の多様性や(実務・実践に関する)形式化された知識が十分に共有されていないことであるが,臨床的な研究アプローチを用いることによって理論と実務の相互作用が期待できる分野でもあるので,分析フレームワークの構築が求められる。

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