ラミニンα鎖Gドメインのヘパリン結合部位の解析

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ラミニンは、α、β、γの3種類の鎖からなる基底膜タンパク質で、細胞接着をはじめとする様々な生物活性に関与している。α1、β1、γ1鎖より構成されているラミニン-1は、ヘパリン結合活性を有し、その主な活性部位はα1鎖のC末端ドメイン(Gドメイン)であることが知られている。本発表では、α1鎖Gドメインの組換えタンパク質(rec-α1G)と合成ペプチドを用いたヘパリン結合部位の解析を中心に、4種類のラミニンα鎖(α1、α3、α4、α5)Gドメインのヘパリン結合部位の研究について報告する。はじめにrec-α1Gのヘパリン結合に対するペプチドの影響を調べるために113種類の合成ペプチドを用いてスクリーニングを行った。その結果、AG73(RKRLQVQLSIRT)とAG75(GLIYYAHQNQM)がrec-α1Gのヘパリン結合を阻害した。またAG73はrec-α1Gへの細胞接着も阻害した。AG73はヘパリン結合活性とヘパリンが関与した細胞接着活性を示した。これらの結果より、α1鎖GドメインのAG73部位がヘパリン結合において重要な部位であることが示唆された。以前我々はα1鎖のAG73部位の他に、α3、α4、α5鎖Gドメインのヘパリン結合部位の解析より、α3鎖のA3G75(KNSFMALYLSKG)部位、α4鎖のA4G82(TLFLAHGRLVFM)部位、α5鎖のA5G77(LVLFLNHGHFVA)部位を同定した。これらの部位はGドメインの5つのLGモジュール(LG1~5)のうちLG4モジュールに存在しており、A3G75部位、A4G82部位、A5G77部位は相同部位に位置することがわかった。これら4種類のラミニンα鎖Gドメインのヘパリン結合部位の解析より、LG4モジュールがラミニンと細胞のヘパリンを介した相互作用において重要な機能を有していることが示唆された。

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