ゴム材料の耐蟻性ならびに耐菌性に関する研究(化学物質・薬剤)
書誌事項
- タイトル別名
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- Studies on the Resistant Property of Various Rubber Materials Against Termites and Fungi(Chemicals)
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説明
各種ゴム材料の耐蟻性ならびに耐菌性試験を行うとともに,ポリウレンゴム中に2種の防菌剤を添加した試料の防カビ効果および薬剤添加が材料の物理的性質に及ぼす影響などについて実験した。実験結果を要約するとつぎのとおりである。(1)耐蟻性実験の結果,10種の供試ゴムのうち,スチレン・ブタジエン共重合ゴムとエチレン・プロピレン・ジエンモノマー共重合ゴムが最も耐蟻性が高く,3年間の野外実験でも全くシロアリの食害をうけなかった。次いで,アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(被害率22.2%),ブチルゴム(40%),天然ゴム(60%),クロロプレンゴム,無水硅酸添加SBR+ブタジエンゴム(80%)の順で,シリコンゴム,高補強性カーボン添加天然ゴム,ポリエーテル系ウレタンゴムはすべての試験片が食害され(100%),耐蟻性が最も低くかった。(2)シロアリによる被害率の高い試料ほど被害の程度も大きく,試料片の周縁部のみならず内面部から直接食害される傾向がある。ゴム材料に対するシロアリ食害の難易は,材料の物理的性質として単に硬さだけでなく,シロアリの歯のたつものであれば,大顎で食いちぎれない強靱さが大きく関係しているものと考えられる。(3)12種のゴム材料について耐菌性実験を行った結果,ウレタンゴムが最も耐菌性が低く,最もひどくカビに侵食された試料は試験片全面にカビが繁殖し72日間で11%以上の重量減少を生じ,引張強さや伸び率もかなり低下した。(4)ウレタンゴムのうちでは,ポリエーテル系のものが最も耐菌性が高く,次いでポリプロピレングリコール系で,ポリエステル系のものが最も耐菌性が低かった。(5)ウレタンゴムに次いで,エチレン・プロピレンゴム,スチレン・ブタジエンゴム,シリコンゴム,臭素化ブチルゴム,天然ゴムの順にカビによる重量減少を生じたが,いずれも重量減少は0.1%以下で引張強度への影響も大してなく,ウレタンゴムに比べれば耐菌性が著しく高い。(6)ゴム材料の防菌対策の一つとして,ウレタンゴム中に防菌剤A(N-dimethyl-N'-phenyl-N(fluorodichloromethylthio)sulfamide),B(Tri-n-butyltin fumarate)を添加した試料について耐菌性試験を行った結果,防菌剤Bは防カビ効果はあるが,ウレタンゴムへの混入に難点があり,材質低下に及ぼす影響が大きい。一方,防菌剤Aは防カビ効果も高く,ポリウレタン添加薬剤として望ましいと考えられる。今後,さらに実験をかさねてゴム材料への添加薬剤と してより適切なものを究明していく必要がある。
収録刊行物
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- 家屋害虫
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家屋害虫 29-39, 1985-12-30
家屋害虫研究会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1543950420031874944
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- NII論文ID
- 110007724530
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- NII書誌ID
- AN10366877
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles