Carboplatin生体内薬物動態からみた腹腔内投与の有用性
書誌事項
- タイトル別名
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- Usefulness of Intraperitoneal Carboplatin Administration : Pharmacokinetic Analysis
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説明
卵巣癌4例, 子宮体癌2例にCarboplatin (CBDCA) 200~450mg/body (148~292mg/m^2を生食500mlに希釈後, bolusに腹腔内(ip)投与を行い, 経時的な血中・腹水中・尿中のfreeおよびtotalのplatinum (Pt)濃度推移を測定した. 更に, その結果に2-compartment modelによる解析とmoment 解析を加え, ip投与時のCBDCAの生体内動態を検討し, 以下の結果を得た. 1) ip投与されたPtの血中移行は腹膜の性状(腹膜クリアランス)に規定され, 血中Cmaxは腹膜正常例でip 1時間後, 癌性腹膜炎例ではip 4~6時間後にあり, その値は癌性腹膜炎例で小であつた. 2) ip投与後の腹水中CBDCA濃度が高いほど, 腹水中蛋白とPtの非結合率は高値を示した. 3) 蛋白非結合率は, ip後4時間以内は腹水中・血中Ptともに80%以上を示し, この蛋白非結合率の高さが, 特に癌性腹膜炎例で腹水中・血中free-Ptの存在時間の延長をもたらした. 4) 血中AUCは同量をiv投与したときと同等以上の値を示した. 更に腹腔内においては, 腹膜正常例でfree-Pt AUCは血中の2~5倍, 癌性腹膜炎例ではfree-Pt AUCは血中の7~14倍の値を示した. 5) 臨床効果は胸水減少例を1例, 腹水に関し著効を1例に認めた. 副作用は骨髄抑制が主であつた. 以上より, CBDCA-ipはivと比較して, 同等以上の血中AUCを示し, かつ腹腔内においては, 更に数倍のAUCを示す両面効果を有すること, 蛋白結合率がCDDPに比して低いため, free-Ptの存在時間が長いことより, CDDPと同等以上のip投与の有用性が判明した.
収録刊行物
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- 日本産科婦人科學會雜誌
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日本産科婦人科學會雜誌 44 (9), 1180-1186, 1992-09-01
日本産科婦人科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1543950420055644672
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- NII論文ID
- 110002106662
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- NII書誌ID
- AN00190060
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles